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生成AI採用動画内製化

採用動画にAIはどこまで使えるのか
工程別に「効くところ」と「効かないところ」

公開:2026年8月22日

「AIで安く作れるなら、外注しなくていいのでは」。採用動画の稟議を上げると、社内で一度は言われる質問です。
この記事では採用動画の制作を10の工程に分け、生成AIが実際に効く工程と、効かない工程を分けて書きます。映像制作会社である当社が、自分たちの仕事が減る話も含めて書いています。

結論:短くなるのは「準備」と「後処理」だけ

先に3行で書きます。

順番に、どの工程がどちらに入るのかを見ていきます。

「AIで9割安くなる」——その話は、うちはしません

生成AIによる削減率の数字は、掲げている各社の自己申告です。当社が実務として正直に言えるのは、次の2点だけです。

減るもの

企画の切り口出し、インタビューの文字起こし、カット候補の抽出、テロップの入力と表記ゆれの統一。ここは実際に短くなりました。

減らないもの

撮影の日数と、現場の拘束時間。ここはAIを入れても1分も短くなりません。そして見積もりの構成上、金額に効いているのは主にこちら側です。

つまり、AIを使うと制作は速くなりますが、費用の総額はそれほど変わりません。速くなった分は、企画を練り直す時間や、撮り直しの余地に回るのが実際のところです。効かない工程は、効かないと書きます。

工程別|AIが効くところ、人が握るところ

採用動画の制作を10工程に分けたものです。自社でどこを内製するかを決めるときの地図として使ってください。

工程AIに任せられること人が握ること当社の場合
1|企画・切り口出したたき台の量産、他社事例の整理どこから出てきた企画かの仕分け企画は「社内の強み」「求職者の不安」「他社事例」の3つから出ます。AIが出せるのは3番目だけです
2|社内アンケート設問案づくり、自由記述の分類誰に何を聞くかの判断「なぜ入社したか」を社員に聞く形は、そのまま内製化の型としてお渡ししています
3|インタビューの質問設計質問案の量産本音が出る聞き方、その場での追撃台本を読ませず、こちらの質問に答えていただく形にします
4|構成・台本構成案のたたき台何を伝えないかの決定
5|撮影代われません現場に入ること、その場の信頼関係ディレクターとカメラの2名。1日で回れるのは1拠点です
6|文字起こし・カット候補全文からタイムコード付きで候補を抽出最終的なカット判断
7|テロップ整形文字数区切り、表記ゆれの統一ブランド表現として出せるかの判断
8|顔出しNGへの対応AIイラストを顔に重ねるどこまで抽象化するかの判断実際に納品した案件があります(後述)
9|イメージ映像・b-roll背景・イメージ映像の生成使う/使わないの判断自社の現場が映らない画は、採用動画では基本的に使いません
10|公開後の検証再生・離脱データの整理次に何を撮り直すかの決定

※ 素材ファイルの一括リネームなど、PC内のファイルを直接操作するタイプのAIは情シスの承認が必要になります。上の表のうち1〜4・6・7は、ブラウザで使えるチャット型AIだけで完結します。

AIが代われない2つのこと

① 現場に入ること

当たり前のようですが、ここが決定的です。候補者が採用動画で確かめたいのは、この会社に実在する人と、実在する現場です。生成した映像でここを埋めると、情報としては成立していても、信頼の材料にはなりません。むしろ「作り物を見せられた」という逆の印象を残します。

生成AIで作ってみたが応募が増えなかった、というご相談をいただくことがあります。原因はほぼこの一点です。

② 社員が本音を話すこと

撮影の場で「うまく喋れない」「演技はできない」と言われることは、ほぼ全ての案件で起きます。当社の答えは「編集でどうにかなる、というのが経験上の結果です」というものです。

実際にやっていることは3つです。

この「本音が出る聞き方」と「その場での追撃の質問」は、いまのところ人が握るしかない部分です。質問をAIに量産させることはできますが、目の前の人が言い淀んだときに何を追撃するかは、その場の判断になります。

AIが決定打になる場面|顔出しを断られたとき

ここだけは、AIが次善策ではなく決定打になります。

社員の方に顔出しを断られた経験は、当社にもあります。そのときにやったのは、AIで作ったイラストをその方の顔に重ねて動画にするという方法でした。モザイクや後ろ姿だけで通すと、視聴者に違和感が残り、かえって「何か隠している」という印象になるためです。実際にこの形で納品し、公開されている案件があります。

ただし、当社の立場ははっきりしています

顔と声を出していただいたほうが、絶対に良い結果になります。AIイラストは、どうしても出せない方がいるときに、その方を動画から外さずに済ませるための手段です。全員をイラストにする使い方は勧めていません。

撮影の日、現場はどれくらい止まるのか

「AIで撮影なしにできないか」というご相談の背景には、たいてい現場を止めたくないという事情があります。実際にどれくらい止まるのかを書いておきます。

撮影なしで作る形も用意はしています。既にある写真と原稿だけで1本作る方法です。ただし現場の動きと人の表情が入らないぶん、応募の動機づけとしては弱くなります。

内製化するなら、AIはどこから入れるか

まず前提として、すべてを内製に寄せるのは勧めていません。内製が向くのは、日常の様子を継続的に発信するSNS用の短尺です。採用サイトの顔になる1本や、説明会で流す会社紹介は、外注したほうが結果的に早く安くなることが多いです。

そのうえで、社内にAIを入れる順番には効き目の差があります。

  1. 文字起こし → カット候補出し。いちばん効きます。1時間のインタビューから使える箇所を探す作業が、大きく短くなります。
  2. テロップ整形。文字数の区切りと表記ゆれの統一を型にすると、担当者が変わっても品質が揃います。
  3. 企画のたたき台。最初に手を出しがちですが、いちばん効きません。

3番目が効かない理由は、企画の出どころにあります。企画は「社内の強みから」「求職者の不安から」「他社の企画を参考に」の3つから出ますが、AIが出せるのは3番目だけです。自社の強みも、自社の求職者が何を不安に思っているかも、AIは知りません。ここを飛ばすと、どこかで見たことのある動画になります。

当社の内製化支援は、初月20万円(戦略策定と、企画から撮影・編集までの技術指導)、2ヶ月目以降が月8万円〜(サポート90分×2回/月)、最低契約期間は半年です。

よくある質問

Q. 生成AIで採用動画を作れば、制作会社に頼まなくてよくなりますか?

A. 工程によります。企画のたたき台づくり、文字起こしからのカット候補出し、テロップの整形は、生成AIでかなり短縮できます。一方で撮影そのものと、社員に本音を話してもらう部分は代われません。採用動画の核心は「実際にそこで働いている人が映っていること」なので、そこを生成映像に置き換えると信頼性が下がります。生成AIで作ってみたが応募が増えないというご相談は、この点が原因であることが多いです。

Q. 社員に顔出しを断られました。AIで代用できますか?

A. できます。当社でも実際に断られた経験があり、そのときはAIで作ったイラストをその方の顔に重ねて動画にしました。モザイクや後ろ姿だけだと視聴者に違和感が出るためです。ただし立場としては、顔と声を出していただいたほうが絶対に良い結果になります。AIイラストは、出せない方がいるときの次善策として使うものです。

Q. 撮影で現場を止めたくありません。AIで撮影なしの採用動画は作れますか?

A. 既にある写真や原稿だけで、スライドショー形式の会社紹介動画を作ることは可能です。ただし現場の動きや人の表情は入らないため、応募の動機づけとしては弱くなります。なお実際の撮影でも、丸一日カメラが張り付く撮り方はしません。主役の方の拘束は訪問先ごとに5分ずつで合計1時間ほど、それ以外の時間は普段どおり業務を続けていただき、横から撮ります。

Q. 会社で使えるのがChatGPTだけですが、採用動画の企画に活かせますか?

A. 活かせます。企画のたたき台づくり、社内アンケートの設問設計と自由記述の分類、インタビューの質問案づくり、テロップの表記ゆれ統一までは、ブラウザで使えるチャット型AIだけで完結します。素材ファイルの一括リネームのようにPC内のファイルを直接操作する使い方は情シスの承認が必要になりますが、そこに踏み込まなくても効果の大きい工程は十分あります。

Q. AIナレーションは採用動画に使っても大丈夫ですか?

A. 用途によります。会社概要や事業説明のように事実を伝えるパートでは実用的です。一方で、社員の想いや職場の雰囲気を伝えるパートに合成音声を当てると、内容と声の温度が合わず違和感が出ます。当社では、社員が話す部分は本人の声をそのまま使い、補足の説明にナレーションを足す構成をとることが多いです。

Q. 予算が10万円しかありません。AIを使えば作れますか?

A. AIの有無にかかわらず、10万円で始められる形はあります。当社では社員インタビューをお一人10万円で承っており、撮影日1日につき最大5名まで撮影できます。まず1名で試して、社内の反応を見てから人数を増やすという進め方が可能です。また、既にある写真と原稿だけで1本作る形であれば、撮影なしのため費用はかかりません。

OT

株式会社OneTrack

東京都渋谷区の映像制作会社です。採用ブランディング動画・社員インタビュー・SNS用の短尺を制作しています。三井不動産ビルマネジメント株式会社様のブランディングムービー(TVCMとして放映)、自衛隊東京地方協力本部様の密着動画などを手がけました。代表・松尾諒介が全案件に直接関与しています。

どの工程を自社でやり、どこを任せるか。整理からご相談いただけます

いきなり制作のお見積もりではなく、まず現状のヒアリングからお受けしています。既にある写真と原稿だけで1本お作りする形もご用意しています。

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