AIセキュリティ株式会社
顧問インタビュー動画
同社顧問に就任された元花王CIO・安部真行氏を迎えた対談動画です。セキュリティと経営の関係をテーマに、1時間の収録を33分46秒に構成しました。「誰に向けた映像か」を定義する工程を、スタジオ選定や機材準備と同じ列に置いた案件です。
背景
AIセキュリティ株式会社の顧問に、元花王CIOの安部真行氏が就任されたことを受けてのご依頼でした。同社代表が聞き手となり、安部氏に話をうかがう形式です。
目的として掲げられていたのは、専門性と信頼性の高い対談の内容を、映像として可視化すること。それによって企業としての信頼を醸成し、同業との違いを明確にする、という設計です。
顧問就任のお知らせは、テキストのリリースだけでも成立します。それでも映像にする理由は、話している人そのものを見せられることにあります。何を言うかと同じくらい、誰がどういう表情と言葉づかいで言うかが、信頼の判断材料になるためです。
「誰に向けた映像か」を先に決める
この案件では、企画準備の工程に「想定視聴者の明確化」を独立したタスクとして置いています。スタジオの選定や機材の準備と同じ列に、視聴者を定義する作業を並べたということです。
定義した視聴者像は次のとおりです。
| 項目 | 定義 |
|---|---|
| 企業規模 | エンタープライズ(従業員1,000名以上、業界大手) |
| 役職層 | 情報システム部長/CISO候補/経営直下のDX責任者 |
| 業務経験 | 社内システム統括、DX、AI利活用、セキュリティ統制など |
| 知識レベル | 技術用語は分かるが、現場とは少し距離がある判断者層 |
| 決裁権 | 導入判断に関わる、または選定に影響力を持つ立場 |
そのうえで、この層が抱えている悩みを3つに絞りました。経営層に「AI活用×セキュリティ」の必要性を伝えにくいこと、実務と経営を橋渡しできる外部の知見がほしいこと、説得力のある前例が少ないなかで判断に迷いがあること。
この3つが決まると、対談で扱うべき論点が自動的に決まります。逆に言えば、視聴者を決めないまま収録に入った対談は、当たり障りのない一般論に着地します。
台本は「始まりと終わりだけ」を一言一句つくる
台本の作成にあたって取った方針が、冒頭と締めくくりだけを一言一句のレベルで書き、あいだは書かないというものでした。
対談の中身は台本どおりには進みません。無理に進めれば、読み上げているように見えてしまいます。一方で、入口と出口だけは絶対に外せない。冒頭の数十秒で「これは自分に関係がある話だ」と判断されなければ視聴は続かず、締めくくりが曖昧なら、見終わったあとに何も残りません。
そこで、確定させる場所と、その場に委ねる場所を明確に分けました。台本は安部氏との事前打ち合わせを経て確定させ、あわせて当日使う資料と香盤表を用意しています。
制作の進め方
準備開始から公開までは、およそ2か月です。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 7月中旬 | 制作準備。スタジオ選定、撮影スタッフと編集者のアサイン、予算調整、想定視聴者の明確化、台本の作成 |
| 7月下旬 | 安部氏との事前打ち合わせ、台本の確定、当日資料と香盤表の作成、機材準備 |
| 7月30日 | ロケハン |
| 8月1日 | 撮影(東京都新宿区のスタジオ) |
| 9月 | 公開 |
撮影当日は朝7時から13時までスタジオを押さえ、実際の収録は1時間です。残りの5時間は、設営、照明と音声の調整、リハーサル、撤収に充てています。
対談の収録そのものは短時間で終わります。にもかかわらず時間を厚く取るのは、撮り直しがきかないからです。顧問という立場の方に何度も同じ話をしていただくわけにはいきません。事前のロケハンも同じ理由で行っています。
1時間の収録を、34分に
公開されている映像は33分46秒です。1時間の収録から、およそ半分を残した形になります。
34分という尺は、最後まで通しで見てもらうことを前提にしていません。想定した視聴者は情報システム部門の責任者層で、まとまった時間を取れる相手ではないためです。必要なのは、関心のある論点から入れて、そこだけを見ても意味が通る構造でした。
この映像に持たせた役割は、その場での意思決定ではありません。「これ、社内で共有したい」と思ってもらうことです。判断者層が動くのは、自分が納得したときではなく、社内の誰かに見せられる材料を手に入れたときだからです。
展開
完成した映像は、次の3つの場所で使われています。
- 同社Webサイトのインタビュー記事のトップに掲載
- プレスリリース(PR TIMESなど)
- YouTubeチャンネルでの公開
記事の冒頭に映像を置く構成は、テキストと映像のどちらかを選ばせるのではなく、先に人を見せてから読ませるという順番の設計です。掲載先が企画の段階で決まっていたため、尺と構成もそれに合わせています。
長尺の対談動画をどう設計するか
対談は台本どおりに進みません。だからこそ、事前に論点の地図を共有しておき、話が展開したときに戻る場所を用意しておきます。
専門性の高いテーマほど、当日の進行より前の設計で決まります。誰に向けるかを決め、入口と出口を固め、あいだを開けておく。この3つが揃っていれば、収録は1時間で足ります。
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株式会社OneTrackは、目的・構造・効果を言語化して映像を設計する映像制作会社です。企画・構成の設計から撮影・編集まで一貫して担当します。